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第60話 優しさという、弱さ

Author: みだん
last update publish date: 2026-10-12 16:00:30

庭園でのあの日から、さらに数日が過ぎた。

ネフィリスは宮での日々に、少しずつ馴染んでいた。

シェラやゼルとの連携の仕組みも、細部が固まりつつある。

あの告白以来、彼の表情には、以前より柔らかなものが増えていた。

廊下ですれ違う侍女たちにも、気さくに声をかけるようになっていた。

けれど、その平穏は長くは続かなかった。

「殿下。南部より急報が」

朝議の場に、ガイル様が青ざめた顔で駆け込んできた。

手にした書状の端が、彼の手の震えを、そのまま伝えているようだった。

「教会派の民兵が、国境沿いの村を一つ、焼き払いました」

私は思わず立ち上がった。

椅子が、後ろに大きく激しく音を立てて傾いた。

「焼き払った、というのは」

「帝国側に通商の便宜を図っていた村です。見せしめとして狙われたと思われます。死者は幸い出ておりませんが、村人たちは家を失いました」

アルヴィス様の表情が硬くなった。

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